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カンボジアの民話世界
2012 - 07/12 [Thu] - 00:00
■内容
脅威、経験、知恵、願望、規範、正義。クメールの心。
カンボジアで最もポピュラーな民話11編を訳出し、その社会的・歴史的背景を詳しく解説。クメールの歴史、生活環境、道徳、価値観などを読み取り、クメール人の心に迫る。
■目次
動物の物語(村の水牛と森の水牛
オオカミとカメ ほか)
動物と人間の物語(欲張りな人
男が娘に結婚を申し込む)
人間の物語(二人の隣人
女の世渡り ほか)
カンボジアの民話世界とクメール人の世界観(カンボジア近代史と民話の「発見」
フランス植民地以前のカンボジア社会と民話の世界 ほか)
■レビュー
クメールの過去から現在に受け継がれる精神的脈流を少しでも垣間見るにはお薦め
カンボジア(クメール)史
・前アンコール時代
・アンコール朝時代
・ポスト・アンコール(タイ・アユタヤ朝とベトナム・阮朝の挟撃)
・フランス植民地時代
・ポル・ポト支配
・現在
活字で記録されることがなかったカンボジア史の変遷で、アンコール朝と現代を結ぶ直接的な関わりは薄い、という。
「身振り」や「手振り」といった身体的な動作が優位に立つ世界であり、
日々営まれてきたカンボジア(クメール)の農民生活と文化を知るすべはないのか。
クメール農民の世界観、思考様式、精神的世界を知るための1つのすべは、民間に伝承される「民話」である。
フランス人文化人類学者やカンボジア人研究者によって編纂された「クメール民話集(全九巻)」からの11編が紹介されいている。
簡単な略史以外に、興味深いのは「クメール人の空間認識」として「村と森」の対立が解説されている。
村(スロック)は文明・智恵等であり、森(プレイ)は未開・愚鈍の象徴、との世界観。
英語の概念「Civilized⇔Uncivilized」の対比と重なる。
カラスは狡猾、水牛は愚鈍、カメはのろまな弱者にみえるけど智恵と地道な努力によって優位なウサギに打勝つ、などの「動物の物語」は、日本の昔話や日本人が持つイメージとも共通で面白い。
「動物と人間の物語」「人間の物語」の5話についても、
どれも現実の地に足をついた教訓・道徳で、非常に感銘受けました。
「欲張りな人」は、西洋の「金の斧・銀の斧」(ドラえもんだったら「きれいなジャイアン・きたないジャイアン」)のストーリーに似ているものの、
無欲だけど、相手を重んじれる機転のよさがないと、結局は身を滅ぼす結果にもなることを示唆している。
日本では、“正直者がバカをみる。(だから公正にしないといけない)”等というが、
この民話では、“(ただの)正直者はバカをみる。(だから現実的に生きるには私利私欲にまみれず、知略・機転を働かせることができないといけない)”と、非常にその通り、と思う。
クメールの過去から現在に受け継がれる精神的脈流を少しでも垣間見るにはお薦めの一書。
さらに視野を広げて、
カンボジアとの文化的かかわりが深い周辺地域(タイ、ベトナム、ラオス)などとの多元的比較にも興味が沸いてくる。
かつて1632年、両親の追善供養のためアンコール・ワットに参拝した日本人(森本さん)がいて、アンコール・ワット中央回廊の柱に足跡が残っているという話しは、日本とカンボジアの関係史も気になってしまう。
内容
★カンボジアの民話
・「動物の物語 6話」、「解題」
・「動物と人間の物語 2話」、「解題」
・「人間の物語 3話」、「解題」
★カンボジアの民話世界とクメール人の世界観
1、カンボジア近代史と民話の「発見」
2、フランス植民地以前のカンボジア社会と民話の世界
3、クメール人の空間認識
![]() | カンボジアの民話世界 (2003/12) 高橋 宏明 商品詳細を見る |
■内容
脅威、経験、知恵、願望、規範、正義。クメールの心。
カンボジアで最もポピュラーな民話11編を訳出し、その社会的・歴史的背景を詳しく解説。クメールの歴史、生活環境、道徳、価値観などを読み取り、クメール人の心に迫る。
■目次
動物の物語(村の水牛と森の水牛
オオカミとカメ ほか)
動物と人間の物語(欲張りな人
男が娘に結婚を申し込む)
人間の物語(二人の隣人
女の世渡り ほか)
カンボジアの民話世界とクメール人の世界観(カンボジア近代史と民話の「発見」
フランス植民地以前のカンボジア社会と民話の世界 ほか)
■レビュー
クメールの過去から現在に受け継がれる精神的脈流を少しでも垣間見るにはお薦め
カンボジア(クメール)史
・前アンコール時代
・アンコール朝時代
・ポスト・アンコール(タイ・アユタヤ朝とベトナム・阮朝の挟撃)
・フランス植民地時代
・ポル・ポト支配
・現在
活字で記録されることがなかったカンボジア史の変遷で、アンコール朝と現代を結ぶ直接的な関わりは薄い、という。
「身振り」や「手振り」といった身体的な動作が優位に立つ世界であり、
日々営まれてきたカンボジア(クメール)の農民生活と文化を知るすべはないのか。
クメール農民の世界観、思考様式、精神的世界を知るための1つのすべは、民間に伝承される「民話」である。
フランス人文化人類学者やカンボジア人研究者によって編纂された「クメール民話集(全九巻)」からの11編が紹介されいている。
簡単な略史以外に、興味深いのは「クメール人の空間認識」として「村と森」の対立が解説されている。
村(スロック)は文明・智恵等であり、森(プレイ)は未開・愚鈍の象徴、との世界観。
英語の概念「Civilized⇔Uncivilized」の対比と重なる。
カラスは狡猾、水牛は愚鈍、カメはのろまな弱者にみえるけど智恵と地道な努力によって優位なウサギに打勝つ、などの「動物の物語」は、日本の昔話や日本人が持つイメージとも共通で面白い。
「動物と人間の物語」「人間の物語」の5話についても、
どれも現実の地に足をついた教訓・道徳で、非常に感銘受けました。
「欲張りな人」は、西洋の「金の斧・銀の斧」(ドラえもんだったら「きれいなジャイアン・きたないジャイアン」)のストーリーに似ているものの、
無欲だけど、相手を重んじれる機転のよさがないと、結局は身を滅ぼす結果にもなることを示唆している。
日本では、“正直者がバカをみる。(だから公正にしないといけない)”等というが、
この民話では、“(ただの)正直者はバカをみる。(だから現実的に生きるには私利私欲にまみれず、知略・機転を働かせることができないといけない)”と、非常にその通り、と思う。
クメールの過去から現在に受け継がれる精神的脈流を少しでも垣間見るにはお薦めの一書。
さらに視野を広げて、
カンボジアとの文化的かかわりが深い周辺地域(タイ、ベトナム、ラオス)などとの多元的比較にも興味が沸いてくる。
かつて1632年、両親の追善供養のためアンコール・ワットに参拝した日本人(森本さん)がいて、アンコール・ワット中央回廊の柱に足跡が残っているという話しは、日本とカンボジアの関係史も気になってしまう。
内容
★カンボジアの民話
・「動物の物語 6話」、「解題」
・「動物と人間の物語 2話」、「解題」
・「人間の物語 3話」、「解題」
★カンボジアの民話世界とクメール人の世界観
1、カンボジア近代史と民話の「発見」
2、フランス植民地以前のカンボジア社会と民話の世界
3、クメール人の空間認識